今回の旅のメインは、もちろん田植えです。
奥会津で米や野菜作りなどに取り組んでいる奥会津金山大自然さんの協力のもと、酒米「フクノハナ」の田植え体験をしました。
実際に田んぼに入る前に日本酒について、次回以降のてまえ酒作りでもお世話になる末廣酒造の名誉杜氏・佐藤壽一さんにお話を伺いました。佐藤さんは金山町のご出身で、会津杜氏の組合を平成元年に立ち上げ、初代会長を務めた方!でもあります。
米の収穫から磨き、仕込みの段取りなど、日本酒の作り方についてモノの本では分からない細部に渡ってお話いただき、日本酒初心者の私には興味深いことばかり。末廣酒造で生酒を作る工程において特許を取得した……という話に至ると、日本酒に詳しい参加者の方々のボルテージは最高潮!熱い質問が飛び交いました。
只見川のすぐ横にある田んぼは、代掻きも済み、準備万端整っていました。
水田に初めて足を踏み入れましたが、素足にぬるりとした泥の感触がなにしろ気持ちいい!おいしいお米が採れる水田の土ですから、肌にもいいのでは…などと考えてしまうのは、お肌の具合が気になる女子ならみんな考えてしまうのでは?!
水田を5分の1ほど田植えしたところで、本日のノルマは達成。今は細々と田んぼに植わっている稲も、秋にはふさふさとした黄金色の稲穂に育つのかと思うと、稲刈りの時期が待ち遠しくもあります。
田植えが終わったのは、ちょうどお昼まえ。本日の昼食は、地元のお母さんたちとつくるおにぎりがメインディッシュです。
食材をうるかしたり、ご飯を炊いたりするのに、昨日味わった天然炭酸水を利用しているとのこと。おかずで出された山菜の天ぷらにも炭酸水を使っているそうで、さっくりとした絶妙な食感はそのためでしょうか。ご飯にまぜられた五葉豆ははじめていただきましたが、ほっくりとしていて美味でした。
南会津町で元禄年間(1690年ごろ)に創業した会津酒造を訪れました。その昔は現在店舗になっている木造の建物で酒作りを行っていたそうで、3階建て分はありそうな天井の高さ。囲炉裏が切られた小上がりや木造りの酒樽、黒々とした太い梁に長い歴史が宿っているようです。残念ながら見学はできませんでしたが、創業当初、元禄年間につくられた酒蔵も残っています。
社長の渡部文一さんは東京でサラリーマンをしていましたが、昭和50年に地元に戻り、以来酒作りに取り組んでいるそう。今でこそ日本酒を洋食などに合わせていただくのは一般的になっていますが、渡部さんはおよそ40年も前から日本酒とフランス料理のマリアージュを提案するイベントを行うなど、精力的に活動してきました。
最近では、江戸時代に書かれた農業指導書「会津農書」に従って行われる農業を、世界農業遺産へ登録する取り組みにも参画しており、「会津農書」の方法で育てた酒米「五百万石」を使って醸した「雪明り」を試飲させていただきました。
渡部さんの話を伺うにつけ、もっともっと福島の日本酒が日本で、世界で楽しんでもらえたら!と願わずにはいられませんでした。
「てまえ酒作り」第1回田植え編は2日間とも晴天に恵まれ、奥会津の自然・食・人と、魅力をたっぷり満喫できました。
次回は、稲刈りの時期、9月24日(土)~25日(日)に、金山町を訪れます。
今回参加できなかった方も、ちょっと興味あるなと思われた方も、第2回からの参加も、もちろん可能ですよ!
(文・川崎 久子)